ザザイズム

書くことは命の洗濯。日常で考えたことや国内外旅行記などつづっています。

業務スーパーのブラジル産鶏もも肉が意外と優秀。安全性の検証も。

こんばんは。ざざいずみです。
いつものように業務スーパーに足を運んできました。


(最終更新:2017/03/14)
www.zazaizumi.com
そこでいつものように、鶏胸肉2kgを買おうと思ったら……胸肉売り切れ

がっくり。業務スーパーあるあるです。



でも、せっかく来たんだし無駄足は嫌だ……!と思った私の目に入ったもの。

ブラジル産鶏もも肉2kg
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以前から気になってました。でも安すぎないか……とか、解凍するの大変そう……といつも怖がって試さずじまいでした。

でも、何より2kg買っても698円(2016年3月段階*1)。税込みでも754円。この安さはやっぱり気になる。
ここまで気になるんなら、まぁモノは試しというし。
でも、コワイ。でも、気になる……。



というわけで、買っちゃいました。
たまに袋が破れているものがあるとのことでしっかり選定して買って帰りました。

買ってみた

つつましやかな一人暮らしを送る女子大生の部屋。



そこに突如現れた2kgの鶏もも肉。
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つい効果線をつけたくなったくらいの存在感。


これ↓作りたくなったくらいの存在感。
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……全世界の畜産農家さん、ごめんなさい。




お店では前々から目にしていたけど、改めて見るとスゴイ。
「お肉」というより「肉塊」って言葉が似合いそうな風貌。
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裏返しにするとまさに肉塊としか言いようが無い。これだけ見るとちょっと食欲失せてきそうなレベル。




このマークはハラールマークというらしい。イスラーム教の戒律に従って処理されたよってことらしいです。
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半解凍して切ってみた

さて問題はこれをどう処理するか。このままじゃガッチガチに凍った分厚い板です。ちょっとした凶器レベルです。辞書の角くらいの威力はありそう。




というわけで検索。こちらを参考に、半解凍→冷凍してみることに。
www.yutorism.jp


まず、シンクを掃除してピカピカにしてから、給湯器の最高温度(60度)のお湯を沸かして溜めます。
そして鶏もも肉をドボン。
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袋が温まった空気でぷうーっと膨れてきます。やっぱり袋は破れていないっぽい。よかった。

3~4分くらいでお湯を半分くらい入れ替え、7~8分くらいで引き上げました。
ちょっと早いかな?と思いつつ袋を半分に折り曲げようとしてみたら結構割れる。これならいけそう。意外と早い。




袋の上から4当分くらいに割れたら、袋を開けてさらにばらばらに剥がしていきます。
意外とあっさりばらけてくれました。逆にちょっと解凍しすぎたのかもわからない。
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あとはこれを切り分けていくだけ。



この切り分け作業、大変そうに見えるけど意外と簡単。
むしろ半解凍だから肉特有のあのぐにょぐにょ感で滑って切りにくい、ってことがあまりない。
気持ちよくサクッと切れます。
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表面に近い皮あたりはほぼ解凍されぎみなのでさすがに切りにくいけど。でも、「凍り過ぎてて固い」なんてこともない。拍子抜けするほど簡単でした。


続いて、再冷凍用にラップに包み直します。しかし、意外とここで問題発生。
ラップで包むとすきまができる。

ふつうの生肉なら肉自体が柔らかいため、ラップでぴっちりすきまなく包み込めます。
でも、この場合は半解凍のブロック状。複数個まとめてラップすると、すきまができてしまう。
これだと冷凍する時霜振っちゃうな……と気付きました。ブロック状に切り分けずに塊のまま冷凍すればよかったかもしれないとちょっと後悔。



でも、なんとかかんとか冷凍肉セットが完成。
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これらはジップロックに入れて冷凍庫に保存しておきます。

もも肉2枚分だけはすぐ食べようと思い、冷蔵庫のチルド室に入れておきました。
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食べてみた

チルド室で完全に解凍されたところで、
さっそく、鶏もも肉を食べてみました。


お気に入りの照り煮にしてみます。
cookpad.com
レシピはこちら使ってます。酢と醤油と砂糖で煮るだけ。
取り立てて過程を書くまでもないくらい簡単。
簡単すぎて調理過程の写真を撮り忘れました。

というわけで、できあがり。
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少し冷めたところにタレを絡ませて、おそるおそる食べてみました。

臭みが気になるとか、そういうことはない。
「国産よりすごくおいしい」とか「すごくまずい」とかそういうのは感じとれなかった。
ふつうにちゃんと、おいしいです。




ところで、安全なの?

身構えてたほど下処理大変でもなかったし、味もふつうにおいしいし、安いし。
ときたら、あとは気になるのは安全性。



「ブラジル産 鶏肉」で検索すると、散々ないわれようです。検索上位に出てくるのはもう危険の一点張り。
あまりリンク貼りたくないので、主要点だけざっくり紹介。

  • ブラジル人でもブラジル産は食べない!
  • 抗生物質だらけ!
  • アメリカも「最悪の毒入り肉」として2000年代初めに輸入禁止に!

ここまで散々ないわれようだと、ハテナマークが浮かぶのが性。
というわけで、真偽を調べてみることにしました。



「ブラジル産=危険」のウソ・ホント

ブラジル人でもブラジル産は食べない!
→真っ赤な嘘。
アメリカ国際貿易委員会のレポート(PDF)を見れば明らか。

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黄色がブラジル産鶏肉のブラジル内消費量。だいたいブラジル産鶏肉の7割くらいはブラジル人が食べてます。赤色は輸入量。ほぼゼロに近い。

めちゃくちゃ食べまくりじゃないですかブラジル産鶏肉。どこをどう見たら「ブラジル人でも食べない」といえるのか。
輸入量と消費量を読み間違えたの?と疑ってしまうレベル。





抗生物質だらけ!
→ブラジル政府は公式に否定。日本の検査では検出の報告もあり。ただし微量。
karadanote.jp
過去に何件か抗生物質が検出されているそうな。でも、本当に微量。一生毎日食べ続けたとしても、害が認められない量だそうです。

また、過去にブラジル大使館がこんな声明を出しています。

ブラジルの畜産ではホルモンなどの使用は国内法で絶対的に禁止されています。更に、抗生物質等の使用には、国連食糧農業機関(FAO)の定めるコーデックス食品規格
(Codex Alimentarius)を、日本を含む加盟国同等、厳守しています。

 




遺伝子組換え飼料だらけ!
→ブラジルの遺伝子組換え飼料に対する規制はかなり厳しい。生産量減らしてでも守るくらい厳しい。

「そんなこと言っても口先だけじゃね?」と思うかもしれませんが。

たとえばこのニュース。
GMO concerns stop Brazil chicken producers buying US corn
2016年に飼料となるとうもろこしがブラジル国内で不作となり、鶏肉の生産量を10%カットする自体にまで陥ったそうです。

そこで手っ取り早い解決策としてとうぜん出てくるのは「飼料のとうもろこしをアメリカから輸入する」こと。
しかし、「遺伝子組換え飼料の懸念」の一点で輸入していないのです。

国内外ともに需要が増大している現状でこのカットはそうとう痛いはず。もちろん不正とか密輸入がある可能性はこのニュースだけじゃ否定できませんが、「生産量減らしてでも遺伝子組換え飼料は輸入しない」という姿勢はかなり強力な論拠にできるんじゃないでしょうか。





アメリカも「最悪の毒入り肉」として2000年代初めに輸入禁止に!
→輸入していないのは本当。でも、「最悪の毒入り肉」だからじゃない。
そもそも2000年代以前からアメリカはずーっとブラジル産鶏を輸入していない。
私の遡れた範囲では1989年以降はずっと輸入してないみたいです。

「じゃあそんな昔からずっと危険ってことか!?」って思われるかもだけど
そもそもアメリカ、9カ国にしか鶏肉の輸入許可出してない。なんなら、日本も鶏肉の輸入許可が出されてない。牛肉なら37カ国に輸入許可出されてるのと比べると相当少ない。輸入基準がものすごく厳しいのか。

そもそもアメリカは世界第1位の鶏肉生産国。輸出量はブラジルに次いで2位。
基準の厳しさうんぬん以前に、ほとんど鶏肉輸入しないのも不思議じゃないです。

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農畜産業振興機構「畜産の情報-主要畜産国の需給-」より引用。


アメリカ国際貿易委員会のレポート(PDF)における「ブラジル産鶏肉の競争力における弱み」を見ても、「インフラの不安定さ」くらいで、品質それ自体にマイナス評価を付けてはいない。

どこにも「最悪の毒入り肉」だから輸入禁止にした、なんて事実は見当たりませんでした。




心配しすぎなくてもよさそう

少なくとも「ブラジル産鶏肉は絶対に危険」と言い切れる根拠のあるソースはなかった。英語ソースなんかも見て回ったけど、見当たりませんでした。

あとは政府発表や実際の運用をどれだけ信頼できるかどうか……というところでしょう。
私とはしては、これだけ世界各国(158カ国)に輸出されてるわけだし、輸入食品検査もあるわけだし、
毎日2kgパックをまるごと平らげでもしない限りは大丈夫じゃないかと思ってます。

安い理由は大体以下の通りだそうな。

  • 飼料の穀物が豊富で安い
  • 人件費が比較的小さく抑えられる
  • 鳥インフルエンザが発生したことがない
  • 政府による各種優遇(減税、融資など)
  • 船便のため輸送料が距離のわりに安い


とはいえ、不安要素が全くないわけじゃないのも事実。
「絶対に安全」と言い切れるソースがあるわけじゃないですから。でもそれはどの食べ物だって一緒。

ましてや「絶対に安全と言い切れない=絶対に危険」なんて論理は成り立たない。「国のやることは信頼できない」と考えるのもいいけれど、それを論拠にしちゃうと自給自足したもの以外すべての食べ物が信頼できないというオチになってしまう。

私としては、むしろ悪質なデマが検索トップに躍り出てくるほうがよっぽどコワイと思う。しかもデマがあちこちに拡散されまくってるのもますますコワイ。
そうやって不安煽り立てるほうがずっと心身に悪影響なんじゃないか……そんなことさえ思ってしまいました。






今日はこのくらい。

*1:2017年3月現在は税抜き848円近くまで値上がりしているようです。飼料不足の煽りを受けた模様。残念ではあるけど、質の悪い飼料を使ってまで値段を抑えることはしない、という安全性の論拠にもなるんじゃないでしょうか。