ザザイズム

書くことは命の洗濯。日常で考えたことや国内外旅行記などつづっています。

電車で隣席の女性が吐いた話

※閲覧注意(食事中の方)

とある終電1時間前くらいの電車に乗りました。立ち客のほぼいない、平日夜のそこそこ空いた電車。

隣に座っていたのは20代くらいの、ひどく眠そうな女性。



電車が出てしばらくすると、女性が私の左肩によりかって大爆睡されてしまいました。

正直、肩が重い。
めちゃくちゃ、重い。

少し私が態勢変えるような動作をしてもピクリともせず。昏々と眠っていらっしった。困ったな、と思いつつ電車はゆく。





20分くらい後、ようやく女性が目覚めて。
前に顔を伏せるような態勢に変わり、肩がらくになったのもつかの間。



iPadの画面から視線を外して、はたと気づく。

床に、吐いてる……。


静かだった。さっき食べたものと思われるものをこんこんと吐いてた。液体が跳ねて靴に飛んでくる……といった被害はなかった。
それでも、女性の真下にこんこんと積もりゆく吐瀉物を見て、
しばらく脳内がフリーズ。




前の席の人も、女性の左隣の男性も、見て見ぬふり。




「吐瀉物を処理してあげられる勇気はない以前に素手での処理は衛生的に問題あるけど車掌さん呼ぶにもここ3号車だから私の降車駅に着くまでの間にダッシュしたとしても呼びきれるかわからないけどこのまま放置するのもさすがにかわいそうだしどうすればいいのかまじで周りは見て見ぬふりだしまじでどうしよう」

と脳内を思考がしばらく駆け巡る。


時はしばし止まり、
最終的に、「大丈夫ですか」と声をかけつつティッシュを吐瀉物にかけて隠し、
車両番号を覚え、次の駅=私の降車駅でダッシュで改札の駅員さんに車両番号を伝える、
という行動に。




思ったこと

とっさの人助けって、難しい

私、やたらと人に助けてもらうことが多いのです。ついこの前中央アジアを旅したときも、困っているときの声かけられ率の高さがすさまじくて。助けてもらうことをどこか当然のもののように感じつつありました。



しかしながら。
いざ自分が困っている人を前にすると、まずフリーズしてしまう。

今回は、衛生面の懸念も当然あるけれど、あの女性が吐いた原因はわからないけれども、何にせよ「困ったな」と思ってしまう自分がいた。
周りの人もきっと「困ったな」「運悪いな」という感覚だったのかな、と。
あの、しばらく見て見ぬふりの空間の居心地の悪さったらなかった。


でも、それを冷たいと切り捨てきる資格も私にはない。
あの時の、「どうすればいいのかわからない」の壁は厚かった。
以前、友人が頭を打って脳震盪起こして気絶したときもフリーズした。それも、「どうすればいいのかわからない」と。



それを思うと、旅先で言葉もほぼ通じないような私をガンガン助けてくださった方々ってほんとうにすごいんだなと思う。
「どうすればいいのかわからないけどどうにかしなきゃ」じゃなくて、
はじめから、「どうにかしなきゃ」が先に来ている方々。
強いなと。そう思う。



「どうすればいいのかわからない」って思考だって、正確には「こうしたらいいのかもしれないけれど、それが完璧な正解なのかがわからない」という思考が含まれているんじゃないか。
その思考をあえてストップさせて「どうにかしなきゃ」を頭に置くこと。それがいつも100%正しいベストな結果になるかはわからないけど、少なくとも「ベストではないがベター」にはなるんじゃないか。



だとしても、何をすれば今回ベストだったのかはわからない。
もうちょっと声かけるとか早くしてあげればよかったのかな……ともやもやしきり。ティッシュの残りも渡せばよかった。



運が良かった

「不幸中の幸い探し」のくせがいつの間にかついたように思う。

たまたま乗った電車の真隣でこんな目に遭ったんよ〜、とだけ書いたら不運でしかないかもしれないけれど、そうでもない。

吐瀉物が飛んでこなかったのは幸いだった。
電車が混んでいなかったのは幸いだった。
私の肩に吐かれなかったのは幸いだった。
もう少し線がズレていたら、今こんなのんのんと文章を書いていられるだけの気持ちの余裕はなかっただろうと思う。



ネガティブすぎて逆に人を元気づけるくらい筋金入りのネガティビストな私。
この手の「不幸中の幸い探し」をするようになったの、あきらかに良い変化なんじゃないか。そう思う。

そんなことに唐突に気づいた。









しばらくインスタントラーメンは食べられなくなりそうだな……という気持ちと、
もうちょっと何かできたのではないかという感覚と、
見て見ぬふりの空間の居心地の悪い感覚と、
左肩の凝りと、
ショックと、
諸々が混ざってるままだけど、今日はこのくらい。





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