原ノ町~竜田間のバスに乗車し、国道6号線を通って帰還困難区域に突入していきます。
前編はこちらから。
www.zazaizumi.com
前編でも少し触れたのですが、写真がブレまくってます。
写真に加えて、Googleストリートビューと落書きなんかも交えつつその時の印象を思い返してみます。
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帰還困難区域、もっと検問みたいのがあるかと思いきや、意外とあっさり入っていきます。
入って、しばらく更地を走ります。
かなり背の高い草が一面に生えまくってる。
それから、目に飛び込んできた建物の数々。
2013年の様子が以下のストリートビュー。黄色い看板が落ちてしまっているのがわかる。
線量の電光掲示板。
道中に何度も見かけることになります。
私が見た限りでは、最高で3.5マイクロシーベルトの表示を確認しました。
やっぱり原発近くでした。国道6号線から原発までの直線距離、最短で2km程度だそうで、そのあたり。
原発の建物の一部っぽいものも一瞬見かけましたが、正直よくわからなかったです。白い大きな建物にチラッと見えたくらい。
本当に人気がない。
印象に残った食堂。撮れなかったので、雰囲気を思い出し描き。
窓がなくなっていて、外からすぐ中のカウンター席が見える状態、調味料なんかがそっくりそのまま残っている。
でも、一面モノクロの世界のような、そんな印象。
国道と交差する脇道にはバリケードが。
ガードレールの2倍以上はある、かなり高いもの。
放射性廃棄物の入った黒い袋の山。フレコンバッグというらしい。
こういった場所、帰還困難区域の前後にもちょくちょくありました。
けど、ここのは、その比じゃない規模。4~5段近く積み上がってる。
さすがに見てて不安になる量。
ゲームセンター。
ホームセンター。
どこも、窓が黒い。真っ黒。
他の地域じゃこんなことなかった。どんなに人気のない場所であろうと。だいたいの窓は白いんです。カーテンかブラインドかシャッターか。
「人気がほとんどない」と「ゼロ」の差。
またまた撮れなかったけど、この近くにある別のホームセンターの園芸コーナーにもアッとさせられました。
外に売られてた土や肥料の袋を突き破って、植物が生えてきてる。
ヨークベニマル。
さっき相馬で見たのとは似ても似つかない。駐車場の広さだけが目立つ。
やっぱり、窓は黒い。
「頑張ろう!富岡」の看板。
すぐそばの歩道橋に、「富岡は負けん!」の横断幕が。
非常に印象に残りました。
調べたら、「富岡インサイド」というサイトを運営されている平山さんが作ったそうです。
www.tomioka.jpn.org
やがて帰還困難区域を抜けます。抜ける時もあっさりでした。いつ抜けたのかよくわからないくらい。
普通に営業しているファミマを見て、ああ、抜けたんだな、と実感。
竜田駅に到着。予定より20分以上早い。
竜田駅のある楢葉町(ならはまち)は2015年9月に避難指示解除されています。
駅周辺をさまよいます。
といっても、周辺は店も何も開いていない。人の気配もない。
駅のトイレには、「福島県核燃料交付金施設」の表示が。
線量計。
駅前のごみ収集所は大変なことに。
駅ホーム。線路の上に橋が渡してあります。
この橋の下にある線路は長らく使っていないようです。原ノ町~竜田間が復活するまではこのままなのでしょうか。
ホーム間の階段は閉鎖中。
ホームのかたわらには、梅の木。
暗くなってきた頃、ようやく常磐線がやってきました。
よく見慣れた車内。
ここから先は、いわき、勝田……と乗り継いでいきました。
隣の席で酒盛り始まったりなんかもしましたが、無事都内に突入、自宅に到着いたしました。
行ってみて思ったこと
パッと見では、思ったより普通のよくある国道沿いの風景のように思えました。
少なくとも6号線沿いを見る限りでは、「ゴーストタウン」と形容できるほどの状況とは思えなかった。
崩れかけの建物は私の見る限りでは1軒だけ。
想像以上に通行量あったし、明らかに危険なものはもう撤去されてるのかもしれない。
帰還困難区域に入る時も、いつ入ったのか、いつ抜けたのか、よくわからなかったし。
でも、明らかに雰囲気は違う。
黒い窓、バリケード、ベニヤ板で閉じられた扉……。
新しい建物も、年季の入った建物も、植物が生い茂っている、そんな光景。
私は初めて来たよそ者でしかないけど、
自分の見慣れた風景がもしああいう風景になったら……と想像すると、呆然。
収束した後にしても、あの風景を一体どうしていけばいいのでしょう。
「原子力 明るい未来のエネルギー」の看板撤去で賛否両論あったように、他の建物も「残すべきか否か」で意見が分かれる未来もありそう。
www.huffingtonpost.jp
それ以前に、いつ収束するか、が問題なわけだけど。
そう考えていくと、5年経ってもなお、事態の重さが身にしみて感じられる。
旅程
最大の難所は「原ノ町~竜田」間。
この区間の代替バス、1日往復2本しかないんです。
驚異的な少なさ。逃したら悲惨なんてもんじゃない。
結果、余裕を持たせに持たせて以下のような旅程に。
仙台駅(常磐線 浜吉田行、乗車時間31分)
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亘理駅13:06発(代行バス 522便)
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相馬駅14:07着
相馬駅15:36発(常磐線 相馬行)
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原ノ町駅15:54着
原ノ町駅16:55発(代行バス 4便)
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竜田駅18:20着
竜田駅18:33発(常磐線 いわき行)
↓
以下いわき→勝田……と常磐線を南下
これだと仙台を13時台に出て、都内に入るのが22時台。上野駅だったら22時53分着です。
ちなみに私は亘理のひと駅前の逢隈駅で下りてご飯を食べに行った*1ので、仙台を出たのはもっと早かったです。
「原ノ町~竜田」間以外の区間はだいたい1時間に1本のイメージ。もっと予定を詰めようと思えば詰められます。
※行く場合は、必ず最新の情報を確認してください。つい先日もダイヤ改正されたばかりでした。
東日本旅客鉄道株式会社 JR水戸支社
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改めて、一刻も早い復興を願います。