マーストリヒトに留学当初に戸惑ったのが電車。住んでいく中で慣れたけど、もっと早く知っておきたかったことがたくさんありました。
マーストリヒトにかぎらず、住んでわかったオランダ・ベルギーの鉄道一般の便利情報など含めてここにまとめていきます。
もくじ
マーストリヒトの鉄道基礎知識
マーストリヒトを通る鉄道は以下の三社です。
◯オランダ鉄道(NS)
オランダ最大の鉄道。オランダに滞在すれば否が応でもお世話になるであろう黄色と青が特徴的な鉄道。
◯ベルギー国鉄(NMBS、またはSNCB)
マーストリヒトからベルギー方面に向かう電車を運営。マーストリヒト〜リエージュ(Liège-Guillemins)区間とそれ以降のベルギー国内。
ちなみにNMBSはフランス語表記、SNCBはオランダ語表記。こういうところはベルギーらしい。
◯ARRIVA(私鉄)
マーストリヒトの属するリンブルフ州の地方路線を運行する私鉄。路線バスも運営してます。2016年12月頃まではVeoliaという会社が運営していたのがまるっと入れ替わりました。
洞窟クリスマスマーケットで有名なファルケンブルグなどに行くにはこっち。
切符の種類
各鉄道業者ごとにちょっとずつ違います。
記名か無記名のOV-chipkaart(オーフェイ・チップカールト)さえあればバス・鉄道など問わずオランダの公共交通機関全体に渡って使えるので非常にラク。
オランダ国内(NS & ARRIVA)
◯Disposable OV-chipkaart(蘭: Wegwerp OV-chipkaart)
出典: Wikimedia Commons
券売機で買えるIC切符。チャージできない買い切り・使い捨て方式。
◯Anonymous OV-chipkaart(蘭: Anonieme OV-chipkaart)
出典: OV-chipkaart kopen
無記名式ICカード。無記名Suicaみたいなもの。
カード代7.5€、4〜5年有効。短期滞在・旅行者向け。
◯Personal OV-chipkaart(蘭: Persoonlijke OV-chipkaart)
出典: OV-chipkaart kopen
記名式ICカード。記名Suicaみたいなもの。
オランダに口座と住所を持っていないと作れない=居住者向け。オートチャージや割引オプションなど使える。カード代7.5€、5年有効。
◯その他
- ネット予約・印刷方式のチケット
- NSグループチケット(後述)
- 一日券(Dagkaart)やウィークエンドチケット
一日券などはkruidvatといったドラッグストアでも安く売られていることも。
ベルギー国鉄
ベルギー方面にはOV-chipkaartは使えません。ベルギー国鉄の券売機で買うか、事前にネット購入して自宅印刷することになります。
駅ではベルギー国鉄の白っぽい券売機を探しましょう。
ベルギー国鉄はオランダに比べて使いやすい割引チケットがネットで取りやすいのでぜひチェック。後述します。
マーストリヒトに住んでわかった鉄道を使うコツ
1.改札がない
オランダ(というよりヨーロッパ)のたいていの駅がそう。例外はアムステルダムくらいでしょうか。あとは車内検札のみ。
OV-chipkaartを使うときは駅でそこいら中に立っているリーダーにカードをかざして乗車時・降車時にピッと読み込ませます。
電車に乗るときはチェックイン(Inchecken)、降りるときはチェックアウト(Uitchecken)が必要です。
ネットから印刷した紙の切符はピッとする必要はありません。というよりできません。最初切符のバーコード読ませようとして焦りました。
2.チェックイン・券売機はオランダ鉄道とARRIVAで別
オランダ鉄道に乗るならオランダ鉄道のチェックイン・アウト機、ARRIVAに乗るならARRIVAのチェックイン・アウト機を使うべし。
別会社に乗り換えるときもホームにあるチェックイン・アウト機でそれぞれチェックアウトしてから乗り換え先にチェックインが必要。
参考:https://www.arriva.nl/consumenten/service-contact/veelgestelde-vragen/reizen-met-arriva-en-ns-in-limburg-1.htm
券売機も別々に置いてあるので、IC切符を買う際には注意。
3.ベルギーの駅名表記に注意
ベルギーはオランダ語表記とフランス語表記が混在しています。
路線検索や券売機でたまにどうしても駅名が引っかからないときがあります。そのときはもう一方の言語で検索かけるとひっかかることが多いです。ややこしや。
たとえば、リエージュ駅。マーストリヒトからベルギー方面に行くなら間違いなくお世話になる、とてもかっちょいい駅。
この駅、
フランス語表記だと、「Liège-Guillemins」。
オランダ語表記だと、「Luik-Guillemins」。
リエージュはフランス語圏なので「Liège-Guillemins」表記のほうが一般的。たまに後者を見ると一瞬「あれ?」と不安になります。
英語表記も混じろうものならほんとうにカオス。
たとえば「ゲント」という町はフランス語で「Gand」、オランダ語で「Gent」、英語で「Ghent」、と表記されます。アプリによっても検索に引っかかる表記が変わるという罠。
こういうこともあるよっていうことを頭の隅にでも留めておくと役立つと思います。「なにここ、乗り過ごした???」ってなるの、けっこう心臓に悪いので。
4.ベルギー方面はオトクなチケットがこっそり存在する
ベルギー鉄道はオランダ鉄道より手軽に使える割引切符の選択肢が豊富です。知っておくべし。
◯週末チケット(Weekend ticket)
金曜19時〜日曜日に往復できるチケット。片道のチケット代が半額。マーストリヒト発着でも適用可。
◯ユース割引チケット(Go Pass 1)
25歳以下ならベルギー国内どこでも片道6.2€。マーストリヒト〜ベルギー国内どこでも片道7.9€。
距離が遠くなればなるほどすさまじい割引率を発揮します。
◯シニア割引チケット(Seniors Ticket )
65歳以上ならベルギー国内どこでも同日往復6,2€。マーストリヒト〜ベルギー国内どこでも同日往復9.60€。
とくにショックなのはユース割引。留学終わり頃に知って悶絶しました。
ブリュージュ行くのに片道23€払ったのに……!
わざわざブリュッセルまで7€のバス*1とったのに……!
と非常にショック受けました。25歳以下でベルギー行くなら絶対覚えておくべし。*2
これらは券売機からでも買えますし、公式サイトでもチケット購入画面で「TICKETS MAASTRICHT」を選んで出てくるメニューから買えます。
5.オランダ国内も割引がある
オランダ鉄道にも割引が存在します。主に長期滞在者向け。
◯サブスクリプション
Personal OV-chipkaartを持っている=オランダの口座と住所が必要になります。
1年間有効、50€払えばオフピークタイム(土日祝、平日09.00-16.00と18.30-06.30)の乗車料金が40%オフになります。
参考:NSの割引を手に入れる - In the Rain
たまに50€から29€まで値下げしているようです。
参考:1 jaar 40 procent korting op treinreizen voor 29 euro
◯グループチケット
オランダ国内の同日往復チケットを条件次第で7€で購入できます。
条件は、日付と発着場所が同じ人が10人集まること。
実際にいっしょに固まって移動する必要はない。たとえばバラバラに住んでいる友達がある一点に集合して遊ぶ、というシチュエーションを想定しているもよう。
これを裏手にとって、Facebook上に「グループチケット募集グループ」があります。
「何月何日、◯◯発着でチケット取りたい人いない?」と誰かが投稿し、新たに小さなグループを作るなりメッセージでやりとりするなりしてチケットを購入。メールでチケットが届くので出発地/到着地や氏名などの必要情報を自分で追加入力して印刷。
これがオランダ鉄道の中ではピカイチの割引率。
たとえばマーストリヒトからアムステルダムは通常往復51€かかるところ、日帰りなら7€でなんと86%OFF、日帰りじゃなくても14€で72%OFFという驚きの割引率を叩き出せます。
ただ、難点もけっこうあります。
- Facebookで募集をかけてチケットを購入する行為は公式的には限りなく黒に近いグレー
- 原則的にオランダの銀行口座が必要
- 詐欺がある(入金させておいてチケットを送らない)
何回か販売終了と噂されつつなんだかんだ終わってはいません(2017年8月11日現在)。
わたしは「サブスクリプションが29€セールやるなら買う、セールがなければパス」という方針でけっきょくサブスクリプションを購入せずじまいでここまできました。
たぶんそれで良かった。つけてもつけなくてもどっちでもほぼ変わらなかった。
乗車料金125€以上が元取れるライン、というのは半年滞在のわたしにとってはひっじょうに微妙なライン。オランダの鉄道料金高いのですぐ取れるっちゃ取れる。
でも、あまりOV-chipkaartでオランダ鉄道乗らなかった。マーストリヒト住まいとしてはベルギー方面行くことが多かったし、オランダ国内はグループチケットのほうを使うことが多かったし。
まとめ
- 路線ごとに券売機やチェックイン・アウトが異なるのに注意
- ベルギー方面は若者・シニア・週末割引を要チェック
- オランダ国内は口座持ちならグループチケットが最強
ごちゃごちゃ書きましたが、これから乗る電車がどの会社の電車かさえ覚えておいて、そのロゴを追っかけていけばOK。
乗り換えは9292.nlで調べるのがおすすめ。
なかなかにピンポイントな情報になりましたが、いつかの誰かの役に立てば幸いです。
今日はこのくらい。
◯今日の過去記事◯
www.zazaizumi.com