アフガニスタンをずっと心配している。
この世界でこんなことが起きていいのかと。遠い場所の他人事には感じられなくて。
4年前、ウズベキスタンとアフガニスタンの国境の町に行った。ウズベキスタンのスルハンダリヤ州テルメズという町。
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アフガニスタン国境から3kmの遺跡にも行った。
遺跡ガイドが遺跡を指差し「あそこはアフガニスタン国境沿いだから軍の管理下で、立入禁止なんだよ」とジェスチャーと単語で伝えてくれた。「ミリテール、アフガニスタン、バーン(銃で撃たれる仕草)」と。直接国境を渡ったわけではなくても、ここがどんな場所かを物語ってくれた。
ひるがえって、今。ニュースを追うと聞き覚えのある地名がいくつもあった。
泊まったホテルから車で20分の国境の橋にアフガン軍が詰めかけ。
Mazar-e-Sharif collapsed to the Taliban, fighters leaded by Atta Mohammad Noor and General Dostum fled to Hayratan Border Pass with Uzbekistan. The picture shows the bridge on the river in the crossing point. pic.twitter.com/9QVtVLjDzz
— Fahim Abed (@fahimabed) August 14, 2021
テルメズのあるスルハンダリヤ州にアフガン軍機が墜落し。
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何より心配なのが、ホテルのロビーで出会ったアフガニスタン人の方。
テルメズは英語通用率が低く、ホテルのフロントにもほとんど英語が通じない。そんな中で、英語で会話できた数少ない方。
仕事でウズベキスタンに来ていて、「アフガニスタンでは厳禁だからね」とウォッカの水割りを飲んでいた。
「アフガニスタン人は日本好きな人ばかりだよ、ってことを日本の人にもっと知ってほしいから伝えてね」と言われた。
あの方は無事だろうか。またウォッカを飲めるようになるのだろうか。
日本ではカブール空港の悲惨さが話題になっている。
空港は世界中どこだってワクワクさせられる場所。今やコロナで活気を失った国際線に、難民という形で人が詰めかけるなんて、見たくなかった。苦しくなった。暗黒時代なのか。今は。そんな思いにさせられる。
私が滞在したことがある国は23カ国。ここまであちこち行った結果、「他人事」に思えない範囲がずいぶんと広がった。
先日のドイツ・オランダ・ベルギーの洪水は全く自分ごとだった。聞き覚えがあるエリアがことごとく危機に陥っていた。私も渡ったオランダ・ファルケンブルクの橋は水浸しだった。台南エリアの大地震も心が痛んだ。
物理的にその場に降り立つことは、圧倒的にその地を「自分ごと」にしてくれる。ネットで遠く離れた地の映像と音がリアルタイムで手元に流れ込んでくる今でも、それは変わらない。
この恨めしいコロナの世。もはや前のような形で世界を広げることはかなわない。在宅勤務が続き、対面で会話を交わすのは家族だけ。国境の町のホテルで国境の向こう側の人と出会う、なんてことは何重にもありえない。やはり物理的世界とネットの世界は質が圧倒的に違う。当たり前すぎるけれど。そんな当たり前を改めて思う。
「テルメズは日中47℃にもなる。けれども湿度はカラッとしているから、日陰なんて案外涼しい。日本の夏のほうが過酷だと思う」
そんな言葉で表すことだって、現地に降り立てば一瞬で理解できることだ。そういう、明らかに異なる世界を肌で感じる機会がどんなにか遠くなったことか。
今は一刻も早い平穏を祈ることしかできない。
◯今日の過去記事◯