ウズベキスタン最南端の町、テルメズ。
タシュケントやサマルカンドといった主要都市からは離れており、観光ルートにもなかなか組み込まれないマイナーな町。でも、意外と見どころがたくさんあってとっても印象深い町でした。
2017年9月に1泊2日滞在した時のことを書いていきます。
話しかけられ率の高さ
ウズベキスタン人はめっちゃくちゃ人懐こい。
言葉はほとんど通じなくても話しかけられ、「日本人か〜!電話番号教えてよ!」という展開がしょっちゅう。スマホの連絡先一覧にキリル文字が増えまくりました。
そんなウズベキスタンの中でも有数の話しかけられ率を誇ったのがテルメズ。
歩いていたらスイカを抱えた女性2人に声をかけられ「どこから来たの?」「フォト!フォト!」と盛り上がられる。
「家おいでよ!」と誘われたものの、残念ながらお断りさせていただいた。ウズベキスタンでは人を家に招き入れることはよくあることみたい。
続いてこちらに向かってきたのは、何かのプレートを手にした6,7人くらいの若者たち。
聞けば彼らは大学生で、テルメズの属するスルハンダリヤ州の観光推進団体の活動中。
彼らは英語が話せて、「日本からなんだ!」「インタビュー答えてよ!スルハンダリヤ州のここがいい!ってところ話して!」と、ものすごい勢いで囲まれて捕まっちゃいました。(ちょい待ち、まだ到着3時間くらいでこの地のこと何もわからない……)とテンパりながらも、「ウズベキスタンの中でも特にフレンドリーな人が多い地域だと思う」とスマホカメラの動画が回る中答えました。
到着たった3時間でひねり出した印象。それはその後、さらに強化されることになったのでした。
仏教遺跡ファヤズ・テペ
観光推進団体の方に助けてもらい、仏教遺跡のファヤズ・テペへのタクシーをGET。
紀元前1世紀頃〜3世紀頃活動していたとみられる、初期仏教の寺院の跡。イスラム教の印象の強いウズベキスタンだけど、イスラム教伝来の前はこうした仏教文化が栄えた時期もあったのだとか。日本も遺跡の発掘に深く関わっていて、プレートにも日本語がある。
仏像や壁画は首都タシュケントの博物館に収められており、ここに残るのはほぼ基礎のみ。風貌だけでいってしまえば"地味"なのだけど、これが侮れない面白さだった。
なんといっても、道路に降り立ったら広がるこの風景。
気温は40℃後半。照りつける日差し。人気ゼロ。この圧倒的すぎる最果て感…………最高でしょ…………。
遺跡に向かうと、畑作業を遠くでしていたおじさまがこちらに向かって歩いてきて「案内するよ」とのオファー。
ロシア語できない?という問いに首を振る。英語通じないのか〜どうなんだろうな〜と思ったら心配ご無用で。
「キッチン」「ブディズム」などの最低限の英単語と、豊かすぎるボディランゲージでフレンドリーに解説してくれた。ボディランゲージってすごい……と思った瞬間。
この丸っこいのはストゥーパ(仏塔)。
このドームは最近造られたカバーで、仏塔の本体はこの内側にある。
この足元の小さい窓の鍵を開けてもらい、中に入れてもらえた。
中から上を見上げた様子。
「日本人なら仏教徒でしょう?この周りを7回周ってお祈りしなよ、ダライ・ラマもそうされたんだよ!」と言われるがままにぐるぐると仏塔を7周してきました。
アフガニスタンは目と鼻の先
ガイドのおじさまがこのカラ・テペという遺跡を指差しながら、「あそこはアフガニスタン国境沿いだから軍の管理下で、立入禁止なんだよ」ということを説明してくれた。実際には「ミリテール、アフガニスタン、バーン(銃で撃たれる仕草)」てな具合でしたが、バッチリ伝わった。
遺跡向こう側にうっすら見える川も指差して「アフガニスタン」と話してくれた。
国境までの距離はたったの3km。紛争地帯という知識ばかり脳裏に浮かぶあのアフガニスタンが目と鼻の先。
そんな国境地帯=危険じゃね!?と思われそうだけど、テルメズは平和そのもの。そのギャップが鮮烈に印象に残った。
一通り解説してもらい、チップか入場料金かストゥーパ入場追加料金かを払った(金額失念)けど、あのマンツーマン解説で安いなと思った記憶。
そこから、市内にさてどう戻ろうかという段階。
タクシーかミニバスを自力で捕まえねばなりません。中央アジアは全体的に行きはよいよい帰りは苦労……というパターン。
しかし、また現地の方が歩いていて見事に声かけられ、見事に言葉通じないけど、「私は日本人です」「市内中心地に行きたい」みたいなことを地図指して伝えてたら、見事にミニバス捕まえてくれた。親切中の親切。
アル・ハキム・アル・テルミジ廟
翌朝はイスラム聖者アル・ハキムの廟へ。ロンプラに記載されていた通り、ユビレイニ・バザール近くの時計塔北部から北方向に向かうミニバス(マルシュルートカ)15番をGETした記憶。
白とグレーと金を基調としたアラベスク文様が美しい。あまり他で見たことのない雰囲気。
広々とした庭園が歩いていて気持ちよかった。
帰りもそこらへんのミニバスに声をかけ、人が来るのを待って市内中心部まで出発。
戻って絶句したのがこの温度計。
乾燥気候だから、体感的なきつさは日本の真夏とあまり変わらないし、日傘や布一枚の日影で大違いではある。でも暑いものは暑かった。
宿で出会ったアフガニスタン人
宿はHotel Surxonという所にしました。公式HP(現在リンク切れ中)で見た外国人向け価格は1泊15ドルだったのに、現地で支払ったのはたったの85000ソム(約10ドル強)。
中心地・朝食付き・バルコニー付き・シングル・ちょっぴり古いけどまっとうな設備でこの価格はウズベキスタン中最良コスパ。現地人価格にでもなってたのか……?と思うレベル。フロントはやっぱり英語いまいち通じなかったけど。
チェックアウトの際にロビーでアフガニスタン人の方に話しかけられました。
「英語しゃべれる?どこから来たの?」「ロシア語話せないとなると、英語話せる人と会うとほっとするでしょ」と。
仕事でウズベキスタンに来ているのだとか。
私が日本から履いてきたロングスカートを見て「アフガニスタン人の服にそっくり!」と言われたり。
フロントの冷蔵庫からウォッカを取り出してきて「アフガニスタンだとお酒は厳禁だからね」と飲んでたり。
「アフガニスタン人は日本好きな人ばかりだよ、ってことを日本の人にもっと知ってほしいから伝えておいてよ」と言われたり。
あれこれと面白い話を聞けました。
*
私の個人的な偏見として。「国境沿いの町の人はフレンドリー」というものがあります。オランダのマーストリヒトしかり、スイスのバーゼルしかり。そして、テルメズもしかり。
仏教遺跡やイスラム建築類はウズベキスタンの他都市に比べて派手さはないかもしれないけれど、テルメズで出会った人たちの記憶と合わさって何倍にも味わい深く面白いものになっているような、そんな気がする。
テルメズで過ごした時間は、「イメージがまっさらな場所ほど面白い」という法則がまたも実証されるような、そんなひとときでした。
今日はこのくらい。
◯今日の過去記事◯
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