映画『ゴッホ 最期の手紙(原題:Loving Vincent)』を観てきました。
一言。凄まじかった。
(最終更新:2017/12/13)
ふとTwitterで見かけたツイートの動画に一瞬で心奪われて、翌日朝は映画館に駆け込んできました。
「ゴッホ 最期の手紙」あと100回は観たい pic.twitter.com/x5Nta3lQSV
— つゆ (@COLORBAR_ty) November 26, 2017
100人のアーティストによる62450枚の油絵によるアニメ映画。
ちょい待って、そりゃ、脳内で想像するなら自由だけど、現実にやっちゃうのそれ!??!??って脳内がビックリマークとハテナマークで埋まるスケール感。100人で足りるのか……って思うくらいにじょわじょわと筆跡がうごめきまくる油絵アニメは圧巻の一言。筆跡それ自体が生きものみたいで、大画面いっぱいをわさわさ動きまくる映像はまさに異空間。油絵タッチを活かした観たこともないような場面の切り替え方だとか、チラチラ動く灯りやら星だとか、ゴッホが観ていた世界ってこんなんなの……ってお口あんぐり。
ストーリーも良かった。ゴッホの死を追うサスペンス仕立てで、淡々としているけれど切ない話。けれど、それ以上に圧倒的映像美に心持ってかれてた。
惜しいのは、上映館少なすぎ・上映期間短すぎなこと。東京都内でさえたったの3館、上映期間は11月いっぱい。なんと明日まで。
たしかに私が行った平日午前の上映で20名いるかいないかくらいのスッカスカ状態だったし、記念にポスターか何か写真に収めようと館内をうろつきまわっても何もなかった。惜しい。
これはもっと早く観たかった。記事も書きたかった。もし明日お暇な方がいたらぜひ映画館に駆け込むべし。
(追記 2017/12/13)
12月13日現在、まだまだ各地で上映してます。11月で上映終了した館は一部でしたので訂正。まだ観てない人はぜひ駆け込むべし。
参考:
ゴッホ〜最期の手紙〜 劇場情報
ゴッホとわたし
正直、ゴッホはそこまで好きではなかったのです。
オランダ留学してたのに、アムステルダムのゴッホミュージアムに行かなかったレベル。
パリのオルセー美術館のゴッホの自画像を観て、ああこれが有名なやつか、色使いがやっぱり変だな〜〜〜と思ったくらい。
でも、予告映像の”””圧”””と、兼ねてより渦巻くオランダ帰りたい欲との魔合体で「オランダの画家じゃん、オランダじゃん、行かなきゃじゃん」と速攻で鑑賞決定。
映画館に向かうまでの間、「ゴッホの有名な絵画がいくつかシーンとして出てくるから知っておくと楽しめる」と聞いたのでググってみました。
そしたら、なんと、「今まであまり好きじゃなかったのはなんでだ……?」と思うくらい気に入ってしまった。
今までは「色使いが独特であらっぽいタッチの絵」という認識。わたしとしてはマグリットみたいな筆タッチのわからないくらいキッチリした絵のほうが好きだったので、フーンという感じ。
でも、改めてゴッホの絵を見直してみて思ったこと。
懐かしい。
ヨーロッパにあるあるこういうのあるって言いたくなる農村風景の数々。いざ絵みたいな風景の写真を探すと、ちょっとだけ似ている写真しかない。でもなぜか見た目以上にそっくりなような、そんな気持ちになった。
わたしが留学で半年間過ごしたヨーロッパ。畑や草原や石造りの建物や石畳や、そういうものが日常になっていた頃があって。それからまた半年が経ち、脳裏に浮かぶヨーロッパ像が曖昧になったり美化されたり忘却されたりしはじめた今日この頃。
そんな頃合いにゴッホの絵は刺さった。
ゴッホの絵は、ありのままをリアルに描くよりは「心象風景」を展開しているもの。だからこそ、絵と映像がわたしのヨーロッパの心象風景に深々と刺さって抜けなくなったんだと思う。
オランダ帰りたい帰りたいいつか絶対帰ると言っているけれど、行ったら今度こそゴッホミュージアムは行かねばだ。留学中に行かなかった自分をぶん殴ってきたいけど、あえて、「初めてを楽しめるという権利」を手の内に残しておいたんだと思うことにしたい。
あと、まさにゴッホ展が開催中なのも駆け込まねば。そう思いました。
今日はこのくらい。