ザザイズム

書くことは命の洗濯。日常で考えたことや国内外旅行記などつづっています。

一面の白い十字架 オランダのアメリカン・セメタリーに行ってきた

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オランダ南部にある、アメリカン・セメタリー(Netherlands American Cemetery)に行ってきました。
マーストリヒトからほど近い丘の上にある米軍戦没者の墓地。

(最終更新: 2017年12月8日)





のどかな景色を見つつ坂を登っていく。

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オランダでは珍しい丘陵地帯。見晴らしのいい気持ちいい場所。

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さっそく墓地に入ると見えるのが、「Court of Honor」(前庭)。

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左右の石壁には行方不明者の名前が刻まれています。

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「命を国への奉仕に捧げ、名の知れぬ地に眠る米人の名をここに刻む」と。左の壁には英語、右の壁にはオランダ語で書かれていました。


「The Mourning Woman(悼む女)」の像。
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メモリアルタワー。
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タワーの中には礼拝堂。
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タワーの目の前に広がる一面の十字架。

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8301人の戦没者がここに眠っているそうです。

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ユダヤ教のダビデの星の墓標もちらほら。
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無名兵士のお墓もあります。「名は神のみぞ知る」と。
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閉館の20分ほど前には軍の礼拝がありました。行進と敬礼が恐ろしくピッタリ。
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前庭に戻る。
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入り口左手には戦線の地図があります。
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中央にある白い十字架が墓地のあるところ。
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本当に街中が戦場になったんだなということがよくわかる。


インフォメーションセンターには記帳簿。
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住所はオランダの近隣地域が大半。ドイツやアメリカもちらほら。日本は相当レアだろうなと思いつつ私も記帳。

写真撮れなかったけど、壁にはブッシュ大統領のサインも貼られてました。


そろそろ帰路につきます。

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想像以上に良い場所でした。


見晴らしがよくて気持ちいい場所でもあるし、
単純に見ても美しい場所でもあるし、
何よりいろいろ考えさせられる場所でもある。



戦時中ヨーロッパの歴史の勉強をもっとしてみたいと思えました。

世界史の勉強で覚えたのは、協定の名前と主要な戦いの名前くらい。
でもそういった点と点の知識の間にだって、ありとあらゆる生きた人と地域と出来事が詰まっている。墓標に刻まれた人名や出身地を眺めていて、そんな当たり前のことを思い出させられた。



例えるなら、わたしの頭の中で開いていた空白に「色」がついたような気分。



帰ってからマーストリヒトの戦時中の写真見たら驚きました。

今とぜんっぜん変わってない。
白黒写真に色がついて見える。不思議な感覚。
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出典: Federal Archives

きっと探せばまったく同じ場所があるんじゃないかと思う。


日本だと戦時中の風景と今とはだいぶ変わってしまっていて、どこか遠い昔の話のように思えるけど、
こっちだともっとずっと「色」がついていて、身近に感じられるのかもなと思わせられました。




アクセス情報

開館日時: 毎日9:00〜17:00(12/25、1/1を除く)
入場料: 無料
場所: オランダ南部、リンブルフ州マルフラーテン村。

最寄りバス停はMilitair Kerkhof(ミリテール・ケルクホフ)駅。
マーストリヒト駅前のバス停から50番または150番350番のバスで20分ほど。月〜土曜日は1時間4本ほど、日曜日は1時間2本ほど出ています。
またはドイツのアーヘンからも50番350番のバスでアクセス可能。1時間くらい。

詳しくはオランダ国内交通情報サイト、9292.nlやGoogle Mapの経路検索で調べるのがおすすめ。


ちなみに私はマーストリヒトから自転車で行きましたが、おすすめしません。坂がきつすぎる
マーストリヒトとの標高差は100m、かなり長い坂が2回ほどある。何回後悔したかわからない。



参考サイト

公式サイト(アメリカ戦闘記念碑委員会)

http://www.margrateneerbetoon.nl/page_eng.php
毎年9月に行われるコンサート情報を中心に、基本的な情報がまとまってます。




行く前にググってみたら日本語情報ゼロでした。本邦初公開。
アクセスもさほど難しくないし、近くにお立ち寄りの際は足をのばしてみる価値はあると思います。




今日はこのくらい。