オランダでよく見るこの黒い物体。
とても食べ物には見えないけど、実はドロップ(Drop)というれっきとしたオランダの国民的お菓子。
日本人には「激マズ」と大不評な味。
そんなドロップに私もトライしてみることにしました。
ドロップとは
ドロップというのはリコリス(甘草)菓子の一種。
リコリス菓子は北欧やオランダを中心に人気。
よく「世界一まずい飴」として取り上げられるフィンランドのサルミアッキもリコリス菓子に属します。
塩化アンモニウムの塩気と、着色料のカーボンブラック(炭素)による黒い見た目が特徴的。
ドロップは飴というよりは固いグミやソフトキャンディに近い。
オランダ人は1人あたり年間で平均2kgものドロップを消費しているんだとか。
これは日本でおける一人あたりの平均チョコ消費量とほぼ同じ(2.1〜2.2kg)。
スーパーでもドロップ売り場で一大コーナーが築かれてます。
オランダにおけるドロップの愛されっぷりといったら、こんなジョークが書き込まれるくらい。
ドロップが嫌いなオランダ人は国外追放されるよ。そうやってアメリカは建国されたんだ、ピーター・ストイフェサント*1がそうだったようにね。
What does licorice taste like? | Yahoo Answers
……そんなドロップをはじめとするリコリス菓子、
日本人には大不評。
その味は「ゴム」「古タイヤ」「漢方薬」「樹液」などと散々な言われよう。
でも、2kg消費するほどならやっぱり何か魅力があるんじゃないか?
食べてればそのうち何かおいしさに目覚めるんじゃないか?
……と、気になったので私も食べ続けてみました。
JUMBO Drop Mix
初めて食べてみたのはJUMBOのプライベートブランドのドロップ。
開封すると広がるのは、
塩っぽいような焦げたようなゴムっぽいようなにおい。
見た目もとうていお菓子に見えない。
試しに、口に含んでみる。
含んだだけだと、最初は意外といけるんじゃ?と思った。
しかし、
噛みしめると広がる広がる、
脳天突き抜けるようなまずさ。
ほんのりとした塩気と鼻のあたりまでこみあげるようなクセのある味。
食べ物とは思えない食感。異様な固さ。
飲み込むと微かに頭痛を起こしているのに気づく。
これをバクバク食べるオランダ人、正気か。
心底疑う。
いや、ちょっとまって、
バクバク食べられるってことは、
あんなにも売り場面積占めてて売れてたってことは、
私も食べ続けてればなにか悟れるんじゃないか。
と、信じて、
5個くらいむりやり食べてみた。
少し慣れてきたけど長くは噛んでられない。
食べ終えた後ぐったり。
もはや、修行。
まだこんな大量に残ってる。絶望。
食べやすい→→→食べにくいの順番に並べてみた。
見た目で一番おいしそうと思ったオレンジが一番まずいというトラップ。
塩気が強すぎてしんどい。
一番左の小さいのは比較的柔らかくて味もマイルド。薄っすらレーズンのような甘みも感じる。
これならおいしいといってもよさそう。ただ「相対的にマシ」ってだけだけど。
翌日。
ふたたび食べてみたら、だいぶ慣れてきてた。
頭痛もしなくなってきた。
でもまだ長くは噛んでいられない。
3日目。
一番小さいやつがおいしいと感じはじめ、
続いてオレンジ色の以外の黒ドロップもおいしく感じてきた。
数日後には食べ切れてしまった。
ああこれがオランダ人の味覚か、
と深く納得。
噛みごたえがあるから小腹空いたときや口さみしいときにはちょうどいい。
味覚ってこんなかわるもんなんだな、とちょっとした感動を覚えた。
Red Band Snoep-Mix Original
続いて試したのがレッドバンドというグミ。
オランダではけっこうメジャーなお菓子ブランド。
出典: Red Band Snoepmix original bestellen | ah.nl
kruidvatというドラッグストアでしょっちゅう1€程度で安売りしてます。
これにも一種類ドロップが入ってます。これは文句なしにおいしい。
JUMBOで一番食べやすかったタイプのをさらに食べやすくした感じのもの。レーズンっぽい甘みが強い。
しかもちゃんと他にフルーティーなグミが入ってる。口直しにばっちり。
HARIBO Rotella
日本でも有名なハリボー。その通称「タイヤグミ」がオランダにもRotellaという名前であります。
オランダ以外ではシュネッケンと呼ばれてます。
見た目からしてタイヤ感が漂う。
食感もTHE・タイヤ。
ただ、味は比較的食べやすいほう。JUMBOやRed Bandとくらべて味が薄くてクセがない。
どっちかというとガムを噛んでいるような、歯ごたえ目当てなような感じ。
それでも初めて食べる人には大不評だった。
もしかしたら私の味覚が慣れてしまったから味薄いと感じるだけなのかも。
HARIBO Smikkelmix
これはおそらくオランダ限定のハリボー。小袋が大量に大袋に入ったミックスタイプ。
ドロップも適度に混ざっています。
「子どもも大人もみんな大好き!」と謳っているなら、きっとおいしいんだろう、
タイヤグミはいけたしな、と食べてみたら、
大間違い。
このドロップ、微妙に清涼感がある。鼻にすーっとくる清涼感が、ドロップ特有のクセと一緒に広がる感じ。
これは、まずい。
これまでだいぶドロップ慣れてきたはずなのに、別方向から来るまずさ。
ドロップの世界の広さを思い知らせられた。
これも数日間食べ続けてたらじわじわ慣れてきたけど、やっぱりいまいち。
ついでにドロップ以外の普通のグミもいまいちまずい。
これで「子どもも大人もみんな大好き!」っていえるのはいったいどこの世界線なんだろう。
まずさ度
まずさ度では
Red Band < ハリボーのRotella < JUMBOの黒ドロップ <<< ハリボーのSmikkelmix < JUMBOのオレンジドロップ
くらいの差があると思う。
もし食べられるようになりたいなのなら、
食べやすいのから慣れていくって戦略が普通だろうけど、
最初に一番まずいの食べて相対的に他のに慣れていく、って戦略も意外とアリなんじゃないかなと思いました。
まだオランダで有名なVENCOやKLENEといった大手メーカーのは試してないので、また今度試してみます。
まとめ
人の味覚とか感覚って、こんなに違うものなんだな、
しかも意外と変えられるものなんだな、
って発見。
ちょっと不思議な感動を覚えました。
他のグミがあったらそっちのほうが美味しいけど、
かといって嫌うまででもない、という程度の感覚。
Red Bandみたいなグミミックスにおける黒ドロップは、
サクマ式ドロップスにおけるハッカ味の立ち位置に似てるような気がする。
ハッカ味の嫌われ・好かれ具合と、ドロップのそれとは、けっこう近いんじゃないかと思う。
味覚とか嗜好って小さい頃からの積み重ねで、そうそう数日じゃ変わらないと思ってたから、
それなりにドロップ食べられるようになってしまったのはちょっと自分で自分に驚いてます。
機会があればトライしてみてください。ただし保証はしません。
今日はこのくらい。
◯今日の過去記事◯
www.zazaizumi.com
*1:アメリカ大陸のオランダ植民地総督。実際彼がドロップ嫌いだったという情報は見当たらなかった。