トルコのスイーツ、バクラヴァの専門店が銀座にできたと話題になっていた。イスタンブールの有名店の支店なのだとか。
10月にトルコのガズィアンテプという町で本場のバクラヴァをいただいた。ガズィアンテプはトルコの南東部に位置し、「美食の町」「ピスタチオの町」として知られる。ここでつくられるバクラヴァはトルコ国内でも最高級とされる。
どこもかしかもピスタチオ
ガズィアンテプはピスタチオの一大産地。イスタンブールや他都市で売っているピスタチオでもガズィアンテプ産を意味する「Antep Fıstığı」の表記をしょっちゅう見かけたくらい、ブランド化している。
そんなガズィアンテプの町を歩けば、そこいら中にピスタチオが山ほど並んでいる。
ナッツ・スパイス屋には必ずといっていいほど並んでいるし、ピスタチオ専門店もある。
めずらしい生のピスタチオも売っている。花のつぼみのようなピンク色が特徴的。
味はローストされたものとはぜんぜん違う、丸く優しいお味。
どのお店でも試食し放題だった。天国。何店舗も試食しておみやげを選定して周った。あまりにも種類とグレードが多すぎてすごく悩んだ。基本的にはシンプルで粒が大きいほど値段が高くなる。こんなにたくさんのピスタチオを比較しまくれる機会なんてそうそうない。ぜいたくな悩みだった。
世界最古のカフェでいただくバクラヴァ
ガズィアンテプで有名なタフミシュ・カフヴェスィ(Tahmiş Kahvesi)という老舗カフェに行った。1635年創業と世界でもっとも古いカフェのひとつ。
歴史ある本館と、別館のテラス席がある。私がバクラヴァをいただいたのはテラス席。
夜風を浴びつつトルコランプの下でまったり夜カフェを楽しんだ。シーシャも吸えたらしい。
バクラヴァとコーヒーを頼んだ。
ここのバクラヴァは、トルコで食べたスイーツの中で一番すばらしかった。
トルコのスイーツは基本とてつもない甘さで殴ってくる。食べ終わると舌がビリビリ痺れるくらいたっぷりの砂糖シロップがデフォルト。
でも、ここのバクラヴァは甘さよりも圧倒的なピスタチオ感が前面に出てくる。ピスタチオの質も量もすばらしく、さすが本場としか言いようのないぜいたくさ。甘さは上品で日本人好み。食感も繊細でサクフワ感を楽しめる。幸せの固まりでしかない。
一緒にメネンギッチ・コーヒーというピスタチオの入ったコーヒーを頼んだ。想像以上にピスタチオ感たっぷりでびっくりした。
よくある日本のピスタチオスイーツとかはピスタチオを遠くに感じるものが多いけれど、甘さの中にピスタチオの風味がしっかりと感じられて。しかもカップがかわいい。トルココーヒー特有の銀カップに店名のロゴ入り。
この幸せ詰め合わせがたったの39リラ≒312円。信じがたい。トルコ旅行3週間みっちり食べまくった中でも、ガズィアンテプのバクラヴァとピスタチオコーヒーはトップに入るおいしさだった。忘れられない。
バクラヴァにはいくつか種類があって、持ち帰り用にも販売していた。ショーケースにびっしりと並ぶバクラヴァ、眼福としか言いようがない。
バクラヴァで作ったトルコ国旗もあった。
おそるべしバクラヴァの国、トルコ。
トルコでバクラヴァを食べたのはこの一回きりだった。いま思うとすごくもったいないことなのだけど、仕方ない。トルコにはあまりにも名物が多すぎる。
日夜食べまくってガズィアンテプに着いた頃にはかなり胃が疲れていた。スイーツ以外にもガズィアンテプは美味しいものが多すぎて、ご飯以外にスイーツを食べる気になれない日が多すぎた。
例えばカトメルという朝食向けのクレープもガズィアンテプ名物。
カイマックというトルコの濃厚なクリームが使われている。パリパリの表面にクリームとこれでもかと詰まっているピスタチオが主張してくる。ぜいたくすぎる朝食。ボリュームもとんでもなくて、半分食べて半分持ち帰りにしたのにお腹が爆発するかと思った。
超有名店の持ち帰りバクラヴァ
おみやげとしてもバクラヴァを買って帰ってきた。ガズィアンテプの超有名店、イマーム・チャーダシュ(İmam Çağdaş)のバクラヴァ。
レストランとしても営業しており大人気。席が取れそうもなかったので、バクラヴァだけ買った。12個ほど入って150リラ≒1200円ほど、トルコでは高級な部類のバクラヴァ。
ただ、いくつか失敗した。買ったのは生バクラヴァという、日持ちしないタイプだった。
バクラヴァには生バクラヴァと長期保存向けのドライバクラヴァがある。生バクラヴァは本来3~5日くらいで食べ切る前提。帰国後の2週間後くらい箱の裏面の説明を見て気づいた。以前イラク産のバクラヴァを買ったときは1ヶ月以上日持ちしたから大丈夫だろうと油断していた。
しかも預け荷物にしたらバクラヴァがすっごい偏って崩壊して悲惨な状態に。すごくショックだった。
もったいないので可能な限り復元して冷凍した。自然解凍してトースターで温めて食べた。おいしかった。サクフワの食感は崩れてしまったけれど、ピスタチオと上品な甘さがしっかり感じられる。こんな切ないコンディションでもおいしいのはさすが名店。とはいえできたてを現地で食べる感動も恋しくなってしまった。
まとめ
日本のバクラヴァはなかなか気軽に楽しめるといいがたいお値段だけど、仕方ないとも思う。原材料もだけど何より腕の良い作り手を探すのが大変そう。
とはいえこれを機に日本でもバクラヴァがもっと広まれば良いな。やっぱりできたてのおいしさは格別すぎた。また食べたい。
今日はこのくらい。
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